Japanese
English
特集 変形性関節症の診断と治療――保存的治療から再生医療まで
Ⅲ章.変形性肩関節症
2.変形性肩関節症に対する鏡視下手術
Arthroscopic management of shoulder arthritis:indications and technique
菅谷 啓之
1
H. Sugaya
1
1東京スポーツ&整形外科クリニック
1Tokyo Sports and Orthopaedics Clinic, Tokyo
キーワード:
OA
,
shoulder
,
arthroscopy
Keyword:
OA
,
shoulder
,
arthroscopy
pp.551-554
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_551
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は じ め に
肩関節における変形性関節症は,高齢者に多く発症し,動作時痛と関節可動域制限を呈する疾患であり,高齢者の増加に応じて男女を問わず近年増加傾向にあると考えられる.広範囲腱板断裂に続発して上腕骨頭が前上方にシフトして,肩峰下面と関節窩上方部に接触し新関節面を形成するようになる二次性変形性肩関節症と,腱板断裂なく骨頭上昇を伴わずに肩甲上腕関節摺動面での変形を基本とする一次性変形性肩関節症がある.二次性変形性肩関節症の治療の基本はリバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)であるが,一次性変形性肩関節症は原則として解剖学的人工肩関節置換術(anatomic total shoulder arthroplasty:aTSA)が選択されることが多い.しかしながら,特に一次性変形性関節症は,筋力トレーニングなどを愛好する比較的若年においても発症することが問題となる.アスリートでは早ければ30歳代から発症し,40歳代や50歳代で関節可動域制限と疼痛を訴えて受診するスポーツ愛好家は少なくない1).これらの比較的若年患者に対しては,早期のうちは注射療法や理学療法で経過をみることが多いが1,2),変形性関節症自体が進行して,可動域制限やスポーツ動作時などの疼痛が問題になってくると,手術的治療を視野に入れざるをえない3~6).本稿では,このような症例に対する関節鏡視下手術について紹介する.
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