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特集 変形性関節症の診断と治療――保存的治療から再生医療まで
Ⅲ章.変形性肩関節症
3.変形性肩関節症に対する解剖型人工肩関節置換術
Anatomic total shoulder arthroplasty for the treatment of glenohumeral osteoarthritis
伊﨑 輝昌
1
T. Izaki
1
1福岡大学筑紫病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Chikushi Hospital, Fukuoka University, Chikushino
キーワード:
anatomic total shoulder arthroplasty
,
glenohumeral OA
,
shoulder
Keyword:
anatomic total shoulder arthroplasty
,
glenohumeral OA
,
shoulder
pp.555-560
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_555
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は じ め に
変形性肩関節症では,上腕骨頭軟骨が進行性に減少し,軟骨下骨適合性の変化に伴い上腕骨頭下部に骨棘が生じる.関節裂隙が狭小化して前方関節包の拘縮が進行すると外旋が制限され,上腕骨頭が後方へ移動する傾向が強くなる.上腕骨頭後方亜脱臼が生じると肩甲骨関節窩後方の骨欠損が進行する.変形性肩関節症に対する手術では,解剖学的人工肩関節置換術(anatomic total shoulder arthroplasty:aTSA)は人工骨頭置換術と比べて機能改善1)と疼痛軽減2)に優れていることが示されている.現在,腱板機能障害や高度な関節窩変形が生じた症例に対してはリバース型人工肩関節置換術が普及している.したがって,aTSAは腱板機能が温存された関節窩変形が軽度な症例に適応が絞られる傾向にある.本術式は,リバース型人工肩関節置換術と比べ若年者を対象とすることもあり,患者が期待する機能改善レベルは高い.本術式および使用する機種の特性を熟知したうえで適応例を選択する必要がある.
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