Japanese
English
特集 変形性関節症の診断と治療――保存的治療から再生医療まで
Ⅶ章.変形性膝関節症
5.変形性膝関節症に対する鏡視下手術
-――半月板切除術の有効性
Arthroscopic surgery for knee osteoarthritis:the effectiveness of meniscectomy
落合 聡司
1
,
萩野 哲男
1
,
千賀 進也
1
,
山下 隆
1
,
齋藤 正憲
1
,
波呂 浩孝
2
S. Ochiai
1
,
T. Hagino
1
,
S. Senga
1
,
T. Yamashita
1
,
M. Saito
1
,
H. Haro
2
1国立病院機構甲府病院スポーツ・膝疾患治療センター
2山梨大学整形外科
1Sports Medicine and Knee Center, Kofu National Hospital, Kofu
キーワード:
medial meniscus
,
arthroscopy
,
meniscectomy
,
treatment outcome
,
OA
Keyword:
medial meniscus
,
arthroscopy
,
meniscectomy
,
treatment outcome
,
OA
pp.675-678
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_675
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は じ め に
中高齢者の半月板は組織学的に細胞密度の低下やコラーゲン線維の欠失による変性がみられ,特に内側半月板で顕著である1,2).これらの変化がもととなり,中高齢者の半月板は明らかな受傷機転がなく断裂を生じることが多く,変形性関節症(OA)進行の危険因子となる3~5).内側半月板は外側半月板に比較すると荷重伝達を担う頻度が高いことや,関節包と固着し可動性がわるいことなどから負担が蓄積しやすい.特に膝屈曲に伴う大腿骨顆部のロールバック機能により高圧下にさらされる内側半月板後節部は断裂の好発部となる1,6~8).
手術的治療では関節鏡手術が代表的であり,大多数の症例で半月板の変性を伴うため切除術が選択されることが多い2,4).中高齢者に対する関節鏡視下半月板切除術の有効性は乏しいとされているが4,9~11),半月板損傷の程度や範囲,関節軟骨の変化など治療成績に関与しうる因子は多様であり有効性の判定はむずかしい.
本稿では,われわれは中高齢者の内側半月板損傷に対する関節鏡視下切除術の治療成績を数種類の評価法で調査し本術式の有効性を検討した.さらに,本疾患の治療成績にかかわると推察される因子を調査し,その関連度を解析することで本術式の適応についての検討も加えた.
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