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は じ め に
変形性足関節症(足OA)は人口の約6%1)に認められる疾患で,機能障害や生活に及ぼす不利益の程度は,股OAや膝OAと同等である.足OAにいたる原疾患として,海外では外傷性OAが78%と最多であり,関節リウマチなどによる二次性OAが13%で,特に原疾患を認めない一次性OAが9%であったと報告している2).一方でわが国の報告では,外傷性OAが47%,関節リウマチなどによる二次性OAが21%,一次性OAが32%であり,海外の報告に比べると一次性の割合が高くなっており,これは日本人の骨形態や正座などの生活習慣が影響していると考えられている3).また,一次性OAは,脛骨関節面の内反や前方開き,内果関節面の末梢開きや形成不全などの形態学的特徴が要因となり,内反型の足OAが多く,外反型の頻度は少ない4,5).
治療の第一選択は保存的治療であり,内反型の足OAに対する保存的治療は,外側ウェッジのインソールを用いることで足関節の荷重を分散する効果が期待できる.しかし,Takakura-Tanaka分類stage 3b以降の症例では,距骨下関節の代償機構が破綻し,インソールを使用しても足関節の荷重圧分散には寄与しないことから,インソールの適応はstage 3aまでの症例に限られる6).保存的治療で十分な効果が得られない場合には手術的治療を考慮するべきである.手術的治療としては,低位脛骨骨切り術,遠位脛骨斜め骨切り術,人工足関節置換術,足関節固定術などが一般的に行われている.膝OAに対する鏡視下デブリドマンは一般的に行われている手術手技であり,疼痛の物理的要因となる変性,損傷した半月板を切除したり,関節内の壊死組織片を洗い出すことで疼痛が緩和される.侵襲が大きな手術を選択するまでにいたらない症例についての症状緩和,あるいはタイムセービングの役割を鏡視下デブリドマンは担っている.しかし,足関節には膝関節の半月板に相当する構造物が関節内に存在しないため,鏡視下デブリドマンの治療効果については議論が分かれるが,保存的治療の効果が得られなかった症例で,侵襲の大きな手術的治療を望まない場合には選択肢の一つと考えている.
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