連載 整形外科医が知っておきたい他科の知識
消化性潰瘍
-――整形外科処方における注意点など
伊藤 公訓
1
,
塩崎 美波
1
,
池田 晃太朗
1
,
柿本 聖樹
1
,
河原 章浩
1
,
菊地 由花
1
1広島大学総合内科・総合診療科
キーワード:
NSAIDs
,
消化性潰瘍
,
消化管出血
Keyword:
NSAIDs
,
消化性潰瘍
,
消化管出血
pp.153-155
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_153
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はじめに:この領域のトピックス
消化性潰瘍(胃潰瘍,十二指腸潰瘍)の主な原因は,ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染,および非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬剤投与である.消化性潰瘍は時に消化管出血の原因となり,患者の予後に重大な影響を及ぼす(図1).以前われわれが行った「緊急内視鏡を要した消化管出血例」の多施設研究においては,登録された全例の約1/4にNSAIDsが処方されていた1).さらに,薬剤起因性の出血性潰瘍例は,対照と比較し死亡率が高率(11% vs. 4%)であることも明らかとなった(図2)1).
このように,NSAIDs投与による「予期せぬ消化管出血」により,患者予後は著しく悪化することを,NSAIDs処方医(主に整形外科医)は常に意識をしなければならない.2020年,日本消化器病学会は『消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)』を発刊した2).本稿では,同ガイドラインに記載されているNSAIDs起因性潰瘍の予防に関する事項を中心に論述する.
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