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重度手根管症候群に対する固有示指伸筋腱を用いた母指対立再建術
-――40例の治療成績
Opponensplasty using the extensor indicis proprius tendon for severe carpal tunnel syndrome in 40 patients
松木 寛之
1
,
中土 幸男
2
,
百瀬 敏充
2
H. Matsuki
1
,
Y. Nakatsuchi
2
,
T. Momose
2
1韮崎市立病院整形外科
2丸の内病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nirasaki City Hospital, Nirasaki
キーワード:
carpal tunnel syndrome
,
opponensplasty
,
extensor indicis proprius tendon
Keyword:
carpal tunnel syndrome
,
opponensplasty
,
extensor indicis proprius tendon
pp.1413-1417
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1413
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【要 旨】
目 的:重度手根管症候群に伴う母指対立障害に対して,われわれは移行腱として固有示指伸筋腱を用いる母指対立再建術を行ってきた.本稿では,それらの追跡調査を行い,治療成績を検討した.
対象および方法:対象は40例40手で,男性9例,女性31例,手術時平均年齢は71.8歳であった.術後成績を母指の可動域,ピンチ力,disability of arm, shoulder and hand(DASH)スコアを用いて評価した.
結 果:Kapandjiテストによる母指対立評価は,術前平均5.5から術後平均9.6,爪面対向角は術前平均111°から術後平均149°へといずれも有意に改善していた.ピンチ力は指腹つまみが術前平均2.5kgから術後平均4.1kg,側方つまみが術前平均3.7kgから術後平均5.2kgへといずれも有意に改善していた.DASHスコアは術前平均44.0点から術後平均11.9点へと改善した.
結 論:固有示指伸筋腱を用いる母指対立再建術は,侵襲が小さく,腱採取による機能欠損も少なく,良好な母指対立運動と十分なピンチ力が得られる有用な方法である.
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