Japanese
English
経験と考察
大腿骨転子部骨折の術後整復位と頚部前捻角の関係
Relationship between the reduction position and femoral neck anteversion after the osteosynthesis for intertrochanteric fracture of the femur
増田 文郎
1
,
小山 博史
2
,
村上 裕樹
1
,
松山 幸弘
1
F. Masuda
1
,
H. Koyama
2
,
Y. Murakami
1
,
Y. Matsuyama
1
1浜松医科大学整形外科
2十全記念病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
femoral neck anteversion
,
intertrochanteric femoral fracture
,
reduction position
,
theoretical plane to place implant
Keyword:
femoral neck anteversion
,
intertrochanteric femoral fracture
,
reduction position
,
theoretical plane to place implant
pp.1156-1161
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1156
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は じ め に
大腿骨転子部骨折の画像評価は,整復位やインプラント設置位置に関連した報告が多く,これらは偽関節やカットアウトなど,インプラント関連合併症に対する評価である.しかし,安定した歩行や歩容などの運動機能を考慮すると,大腿骨の頚部前捻やオフセットなど,骨形態の術後変化についても評価が必要である.
大腿骨の頚部前捻と下肢の回旋肢位は密接に関連している.湯田ら1)は三次元動作解析装置VICON(VICON社)を用いた健常成人20名の歩行解析で,頚部前捻角が大きいほど,立脚初期の股関節および下腿の内旋角度が増加したと報告している.小山ら2)は人工股関節全置換術(THA)において,頚部前捻角と歩行時の足角(toe-out angle)の関係を調査し,THA前後の前捻角変化量と足角の変化量には相関があり,頚部が増捻すると術後の足角は減少したと報告している.転子部骨折においても,手術により頚部が増捻するとうちわ(toe-in)歩行になると考えられ,足部が床に引っかかることによる易転倒性が危惧される.
大腿骨転子部骨折の骨接合術では,骨折部の安定性を得るため,整復位は解剖型から髄外型をめざすことが一般的である.頚部前壁を髄外型に整復すると,術中透視の側面像では骨折部が前方凸となり,頚部は後捻する印象があるが,詳細は不明であった.本研究では,大腿骨転子部骨折における術後整復位と頚部前捻角の関係について調査した.
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