Japanese
English
経験と考察
転移性脊椎腫瘍における骨転移リエゾン治療の有用性
Effects of liaison therapy for metastatic spinal tumor
藤田 健太郎
1
,
吉岡 克人
1
,
納村 直希
1
,
髙田 泰史
1
,
上岡 顕
1
,
池田 和夫
1
K. Fujita
1
,
K. Yoshioka
1
,
N. Osamura
1
,
Y. Takata
1
,
K. Ueoka
1
,
K. Ikeda
1
1金沢医療センター整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., National Hospital Organization Kanazawa Medical Center, Kanazawa
キーワード:
spinal metastasis
,
liaison therapy
,
multidisciplinary management
Keyword:
spinal metastasis
,
liaison therapy
,
multidisciplinary management
pp.1146-1149
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1146
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は じ め に
近年,癌治療の進歩や画像診断能力の向上により,骨転移患者の診療機会は増加傾向にある.骨転移を有しながら生存する “癌サバイバー” にとって疼痛,病的骨折,脊髄麻痺などの骨関連事象(skeletal related events:SRE)をきたすことは問題となる.特に脊椎転移は,病的骨折に伴う疼痛だけでなく,脊髄麻痺をきたすことで著しく生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)を低下させ,結果として化学療法など積極的治療を行えず,予後にも影響を及ぼす.一方で,SREの予防が患者の生命予後改善につながったとの報告もあり1~4),骨転移診療の重要性が高まっている.しかしながら,骨転移診療は癌の病状に合わせた治療方針や全人的ケアと同時に行う必要があるため,整形外科単独で行うものではなく,癌治療にかかわる多職種の連携がもっとも重要な鍵となる5).
そこでSREの予防や骨転移に対する早期診断・治療を目的とした,骨転移リエゾン治療6),骨転移登録システム7),骨転移カンファレンス5,8~10)が近年注目を集めている.当院では2018年4月より骨転移リエゾン治療の立ち上げを開始した.本研究では骨転移の中でも特に頻度が高い脊椎転移に着目し,リエゾン治療の有用性について検討した.
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