骨転移診療における骨転移キャンサーボードの意義

Role of cancer board in multidisciplinary management of cancer bone metastasis

は じ め に

　癌診療に整形外科医が積極的に関与し，骨転移患者に適切な治療介入を行うことの重要性は近年広く認知されている．患者の生活の質（QOL）を著しく低下させるような病的骨折や脊髄麻痺を予防し，骨転移による痛みや生活の制限からもたらされる苦痛を和らげることは，癌治療の重要な一側面をなすものである．

　骨転移のマネジメントには，原発腫瘍の診療科や整形外科だけでなく，リハビリテーション科，放射線科，緩和ケア科，歯科・口腔外科など多科の医師，さらに看護師，ソーシャルワーカー，理学・作業療法士など多職種の医療スタッフのかかわりを要する．これらのメンバーが各々のスキルを持ち寄り，骨転移患者のおかれた現状の問題点と治療計画を評価し討議する場が「骨転移キャンサーボード」である．当施設での経験をもとに，本稿では，骨転移キャンサーボードのはたすべき役割について考える．