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特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅱ.CT
1.CTを用いた発育性股関節形成不全の三次元形態評価
Three-dimensional morphological evaluation of developmental dysplasia of the hip using computed tomography
藤井 政徳
1
M. Fujii
1
1佐賀大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, Saga University, Saga
キーワード:
DDH
,
CT
,
bone morphology
Keyword:
DDH
,
CT
,
bone morphology
pp.547-550
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_547
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は じ め に
本邦の変形性股関節症(股OA)の疫学的特徴は,発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip:DDH)に続発するOAが多いことであり,その81%はDDHにより発症した二次性OAと報告されている1).DDHは完全脱臼,亜脱臼,寛骨臼形成不全を含めた病態の総称として用いられているが,本稿では主に成人寛骨臼形成不全の骨形態評価について述べる.典型的なDDHの形態学的特徴は,寛骨臼側では浅く急峻な関節面を呈すること,大腿骨側では外反股や強い前捻を有すること,そのため特に前方~上方において寛骨臼による骨頭被覆が不良であることとされている2).これらの骨形態異常は股関節不安定性,股関節応力の異常な分布・集中を生じ,その結果,早期に関節唇断裂,関節軟骨の変性をきたし,最終的にOAにいたると考えられている3).しかしながら,近年のcomputed tomography(CT)を用いた三次元的解析により,DDHの股関節形態異常は決して一様ではなく,個々の患者で多様な骨形態を示すことが明らかとなっている.したがって,骨盤骨切り術などで個々の患者の特徴に合わせた骨形態矯正を行う際,術前の三次元的形態評価が重要である.
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