発育性股関節形成不全に対する観血的整復術 -――広範囲展開法の手術手技と治療成績

Open reduction for developmental dysplasia of the hip：surgical procedure and outcomes of extensive anterolateral approach

は じ め に

　発育性股関節形成不全（developmental dysplasia of the hip：DDH）［完全脱臼］に対する外科的治療は，1908年にLudloff法が報告されて以来，内側法や前方法など数多くの手術法が報告されているが，中でも特に良好な長期成績が報告されているのは広範囲展開法である．広範囲展開法は，前外側進入で関節包の全周切開を行う術式として1977年に田辺らによりはじめて報告された方法である^1）．当院では2006年の開設以降，本術式を採用しており，リーメンビューゲル装具で整復位が得られないDDH症例をはじめ，脳性麻痺や多発性関節拘縮症などの基礎疾患を有する症例群にも適応を広げて使用してきた．

　本稿では，はじめに当院での本術式の手術手技を述べ，治療成績については基礎疾患を有する症候性DDHを対象とした研究結果を報告する．