Japanese
English
特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅰ.X線検査
1.腰痛とX線学的指標
Relationship between radiological parameters of the lumbar spine and low back pain
兼子 陽太
1
,
二階堂 琢也
1
,
大谷 晃司
1
,
紺野 愼一
1
Y. Kaneko
1
,
T. Nikaido
1
,
K. Otani
1
,
S. Konno
1
1福島県立医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Fukushima Medical University, Fukushima
キーワード:
lumbar spine
,
low back pain
,
spino-pelvic alignment
Keyword:
lumbar spine
,
low back pain
,
spino-pelvic alignment
pp.502-507
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_502
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は じ め に
腰椎X線検査は,腰痛診療において主に初期診断のツールとして広く用いられている.しかし,『腰痛診療ガイドライン2019』では「診断初期に有用であるが,神経症状のない腰痛患者には必ずしも受診後早期に行う必要性はない」とされ,その根拠に症状改善への有効性,被曝および医療経済などの問題があげられている1).すなわち,神経症状やred flagsを有さない腰痛に対する早期画像診断は必須ではないことに留意する必要がある.
また,腰痛には骨,椎間板,筋,神経,アライメント,および心理社会的因子など種々の要素が関与しているため,X線指標のみで症状のすべてを説明するのは困難である.近年の画像検査による研究は,特にMRIなどの高次モダリティを用いた病態解析が中心となっているため,プライマリケアにおける腰椎X線検査の有用性について積極的に述べた文献は少ない1).
一方,腰痛の範囲や性状は,患者や医療者,研究によってその捉え方は多様であり,必ずしもそれぞれが示す「腰痛」は同じ「腰痛」を指しているとは限らない2).
それらの現状をふまえ,本稿では,分類や定義の有無にかかわらず,単に腰痛と表現されている「いわゆる腰痛」との関連が明らかにされている腰椎X線検査所見を中心に述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2022