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は じ め に
近年,わが国の高齢化に伴い骨粗鬆症性脊椎脆弱性骨折の増加は大きな問題となっている.骨粗鬆症性脊椎脆弱性骨折の治療については,2006年に行われた全国470施設からのアンケート調査によると,回答当日の脊椎椎体骨折入院患者のうち92%で保存的治療が行われていた.また,外固定療法を行っている施設は429施設(91%)であり,さらにその内容(複数回答可)として,軟性コルセット203施設(43%),硬性コルセット190施設(40%),体幹ギプス150施設(32%),市販の腰部固定帯130施設(32%)であったとの報告がされている1).このことから,外固定療法の最適な選択が標準化されていないことがわかる.
われわれは,原発性骨粗鬆症性脊椎脆弱性骨折の治療において既製のコルセットで即日固定可能なダブルコルセット固定の有用性を報告したが,欠点として患者一人で装着できないことがあった2).脊椎脆弱性骨折の治療法としては,コルセットなどによる外固定療法が多く用いられるが,当院においては,コルセット装着協力者がいない場合などにおいて,即日固定可能な簡易体幹コルセット装具であるフィットキュア・スパイン(アルケア社,東京)を使用している.フィットキュア・スパインはキャストステーを患者の背部の形状に合わせて医師が作成を行い(図1),専用のステーカバーに入れて使用する.ステーカバーは肩部ベルトのたすき掛け構造により体幹の前傾をおさえ,背部のキャストステーと胸部および腰部ベルトにより,体幹の伸展をおさえるという二つの3点固定により,体幹の保持を行っている.また,患者の体格によりサイズ分けを行うことが可能である(図2).本稿では,フィットキュア・スパインを用いた外固定療法における有用性を検討し報告する.
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