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後方安定型人工膝関節において冠状面および矢状面の関節弛緩性は臨床成績に影響する
-――機能良好膝の評価
Coronal and sagittal laxity affects clinical outcomes in posterior-stabilized total knee arthroplasty:assessment of well-functioning knees
渡邊 敏文
1
T. Watanabe
1
1獨協医科大学埼玉医療センター整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Dokkyo Medical University Saitama Medical Center, Koshigaya
キーワード:
joint laxity
,
clinical outcomes
,
TKA
Keyword:
joint laxity
,
clinical outcomes
,
TKA
pp.271-275
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_271
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【要 旨】
目 的:本研究の目的は,機能良好な人工関節全置換術(TKA)膝の冠状面および矢状面の関節弛緩性を調査し,至適な弛緩性を明らかにすること,また,関節弛緩性と患者立脚型評価を含む臨床成績の関連を明らかにすることである.
対象および方法:後方安定型TKAを施行後2年以上経過し機能良好な両側例40膝を対象とした.テロスを用いた150 Nの外力での10°屈曲位の内外反動揺性,ハンドヘルドダイナモメーターを用いた100 Nの外力での80°屈曲位の内外反動揺性,KT1000を用いた30°および75°屈曲位での前方(133 N)および後方(89 N)動揺性を計測し,術後成績との関連についても検討した.
結 果:内反・外反弛緩性は10°屈曲位でそれぞれ5.6±1.8°,3.6±1.2°,80°屈曲位でそれぞれ7.4±5.1°,3.6±2.7°で,外反弛緩性は一定であった.一方,前後弛緩性は30°および75°屈曲位でそれぞれ8.7±3.6mm,6.6±2.3mmであった.屈曲角度とnumerical rating scaleによる患者の疼痛および不安定感は関節弛緩性と相関したが,それ以外のいくつかの項目は負の相関を示した.
結 論:伸展・屈曲における外反弛緩性は3.6°と一定であり,内側安定性の重要性が示された.よりよい屈曲角度と患者立脚型評価を得るためには適度な関節弛緩性が望ましく,過度な関節弛緩性は臨床成績に負の影響を与える.
© Nankodo Co., Ltd., 2022