Japanese
English
連載 専門医のための症例問題トレーニング
脊椎・脊髄疾患
Spine and spinal cord disease
三原 久範
1
,
多々羅 靖則
1
,
新村 高典
1
,
坂口 彰
1
,
片山 裕貴
1
H. Mihara
1
,
Y. Tatara
1
,
T. Niimura
1
,
A. Sakaguchi
1
,
Y. Katayama
1
1横浜南共済病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Yokohama Minami Kyosai Hospital, Yokohama
キーワード:
cervical
,
myelopathy
,
cerebral palsy
,
athetosis
Keyword:
cervical
,
myelopathy
,
cerebral palsy
,
athetosis
pp.263-269
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_263
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
症 例.54歳,女.
主 訴:手足のしびれ,歩行障害.
既往歴:生来よりアテトーゼ型脳性麻痺(分娩時低酸素脳症).47歳時心筋症,49歳時リウマチ性多発筋痛症.
現病歴:脳性麻痺による四肢の失調性運動障害や頭頚部の不随意運動はあったが,独歩可能で通常の学校を修了した.事務仕事に従事し日常生活も自立していたが,半年前より手足のしびれが出現した.その後,徐々に歩行障害を自覚するようになり,前医を受診した.頭頚部不随意運動を軽減する目的で筋解離術を受けたが,歩行障害の進行は止まらず手足のしびれも増悪したために当院へ紹介となった.
初診時所見:頭頚部は右へ傾斜し,左への回旋が主体の頚部不随意運動を呈していた.アテトーゼ運動強度(表1)はgrade 3であった.両手指に巧緻運動障害を認めたが,大きなボタンの着脱は可能であった.手指屈伸10秒テストは右10回,左13回であった.歩行にはT字杖を使用していたが,介助なしで歩行可能であり,足の3点ステップテストは右21-1回,左26-2回であった.両手の中指・環指・小指に7/10の痛覚鈍麻としびれを有し,下肢には明らかな知覚障害を認めないものの両足趾にしびれを訴えていた.徒手筋力検査(MMT)は上肢では三角筋以下が4(右は上腕三頭筋と手関節背屈筋が4−),下肢では右の前脛骨筋以下が4で左はすべて5であった.
深部腱反射は両側とも腕橈骨筋反射以下が亢進していた.その他,頻尿の訴えがあった.
画像所見:X線像(図1),立位全脊柱X線像(図2),3D-CT(図3),脊髄造影像(図4)を示す.
© Nankodo Co., Ltd., 2022