整形トピックス
椎間板変性の感受性遺伝子とphenotype
-――the Wakayama Spine Study
橋爪 洋
1
,
出口 剛士
1
,
池川 志郎
2
1和歌山県立医科大学整形外科
2理化学研究所骨関節疾患研究チーム
pp.42-42
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_42
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椎間板変性(disc degeneration:DD)は脊椎加齢変性過程の第1段階であり,その疾患感受性遺伝子の解明は変形性脊椎症,脊柱管狭窄症,脊椎すべり症,変性脊柱後弯症などの発症ならびに進行予測に寄与するものと期待される.しかしながら,網羅的解析手法を用いた先行研究により複数報告された感受性遺伝子の多くは臨床的再現性が得られていない.感受性遺伝子の相関解析を行う際の目的変数となるphenotypeの定義が統一されていない,あるいは不適切であるためであり,これは運動器加齢変性全般に該当する問題である.たとえば変形性関節症のKellgren-Lawrence分類は骨棘形成,関節裂隙狭小化,軟骨下骨硬化という3つの異なるphenotypeを同時に評価している.運動器加齢変性の感受性遺伝子を同定するために既存のgradingをそのまま使用することは不適切であり,phenotypeに着目した新たなgradingが必要である.われわれは最適なDDのphenotypeを探索すべく,一般住民コホートであるthe Wakayama Spine Study(WSS)参加者1,605名[年齢26~98(平均67歳)]を対象に横断的解析を行った1).
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