Japanese
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経験と考察
特発性脊髄硬膜外血腫と脳梗塞を鑑別する場合にMRI以外ではどのような所見や検査が有用か
What are useful findings and tools besides magnetic resonance imaging in distinguishing spontaneous spinal epidural hematoma with stroke?
井上 三四郎
1
,
内田 泰輔
1
S. Inoue
1
,
T. Uchida
1
1宮崎県立宮崎病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Miyazaki Prefectural Miyazaki Hospital, Miyazaki
キーワード:
spontaneous spinal epidural hematoma
,
stroke
,
diagnosis
Keyword:
spontaneous spinal epidural hematoma
,
stroke
,
diagnosis
pp.1139-1143
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1139
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は じ め に
特発性脊髄硬膜外血腫(spontaneous spinal epidural hematoma:SSEH)は,しばしば片麻痺を呈する脊柱管内出血性疾患であり,時に緊急手術が選択される救急医療において重要な疾患である1~16).その確定診断のゴールドスタンダードはMRIである1~16)が,救急の現場においてタイムラグなくMRIを選択することは意外にむずかしい.なぜならばSSEHはまれな疾患であり,脳卒中や大動脈解離などの他疾患との鑑別が重要となるからである.これらの疾患はSSEH同様もしくはそれ以上に緊急性があり,迅速な診断が要求されている.臨床の現場では,片麻痺を呈する脳梗塞との鑑別が特に問題視される1~16).
そのために,SSEHを診断するためには,短時間に自信をもってMRIを選択しなければならない.MRIを選択する根拠として,われわれは疼痛や構音障害などの身体所見やCTが有用であることを以前報告した1,2).しかし,それらは比較対象のない症例報告やケースシリーズであり,統計学的検討を行っていなかった.さらに,われわれが渉猟しえた限りではSSEHと脳梗塞を統計学的に比較・検討した文献はなかった.
本研究の目的は,SSEHと脳梗塞との鑑別する際に,MRIをオーダーする前に診断根拠とすべき所見や検査について言及することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2021