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特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅳ.臨床研究に関する法律・規制
3.臨床研究関連規制 3)臨床研究法
Clinical Trials Act
山本 洋一
1
Y. Yamamoto
1
1大阪大学医学部附属病院未来医療開発部臨床研究センター
1Academic Clinical Research Center of Osaka University Hospital, Osaka
キーワード:
Clinical Trials Act
,
specified clinical trial
,
certified review board
Keyword:
Clinical Trials Act
,
specified clinical trial
,
certified review board
pp.617-621
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_617
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は じ め に
臨床研究法は,2018年2月28日に治験のGood Clinical Practice(GCP)に相当する省令が交付され,2018年4月1日に施行された.医療機関からは,臨床研究法の遵守を求められる研究が何か,どのような手続きが必要か,今までの「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」1)(医学系指針)と,どこが違うのかなど,理解が十分すすまないまま施行されたという意見をよく聞く.実際のところ,実施下で規制の解釈や運用が統一されつつあるのが現状である.
また,臨床研究法を説明するときに,治験あるいは臨床研究コーディネーター(CRC)の支援を受けずに治験を実施するようなものであると形容される.治験においては,本来治験責任・分担医師が実施すべき業務の多くをCRCが支援しているからこそ,規制やプロトコルの不遵守を最小限に抑えることができ,有効な被験者保護につながっている.
臨床研究法では,研究代表医師・研究責任医師の負担はきわめて重く,研究者を支える研究事務局やCRCの支援をできるだけ受けられるよう研究費の獲得が一つの課題になっているが,現実的にはむずかしい.
本項では,まず,臨床研究法の基本的な要点を総論・各論で説明し,そのうえで,臨床研究法の施行において研究者が特に注意すべき点をあげる.
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