Japanese
English
特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅰ.質の高い研究論文作成のための提言
2.統計的視点から論文の質を高めるための4つのアプローチ
-――プロペンシティスコアを用いた臨床研究を例に
Four approaches to improve quality of a clinical research paper from a statistical viewpoint
田中 司朗
1
,
松林 潤
1
S. Tanaka
1
,
J. Matsubayashi
1
1京都大学大学院臨床統計学
1Clinical Biostatistics, Graduate School of Medicine and Faculty of Medicine Kyoto University, Kyoto
キーワード:
flow chart
,
PECO
,
propensity score
,
p-value
,
research hypothesis
,
sample size
,
medical writing
Keyword:
flow chart
,
PECO
,
propensity score
,
p-value
,
research hypothesis
,
sample size
,
medical writing
pp.508-513
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_508
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
論文の役割でもっとも大切なものは何か.それは,その研究の目的(研究仮説)と,データを解析した結果を,読者に正しく伝えることである.統計の専門家はそのような視点で論文をみる.統計手法が高度であることよりも,必要十分な情報が提示され,ていねいにデータが記述されていることのほうが,高評価につながる.本項では,そのような統計的視点を
・研究仮説とその根拠を明確に述べる.
・解析ごとの人数の報告を怠らない.
・表は3つのルールに従って作成する.
・p値を過信しない.
という4つのアプローチで解説する.具体例として,香港病院管理局のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究のLauら1)の抄録(表1),Figure 1(図1),Table 3(表2)を用いる.
© Nankodo Co., Ltd., 2020