肩こりに対するハイドロリリースの有効性

Effectiveness of hydro-dissection for neck pain

は じ め に

　肩こりは，本邦では有訴率2位で，男性の5.7％，女性の11.6％が訴える症状である^1）．医療機関で行われる肩こりの治療として，薬物療法，注射療法，生活指導，心理的サポートなどがある．しかし，健康保険適用外のマッサージなどへ通院している患者も多い．バルク社が2015年8月に行った男性523名（年代別内訳：20歳台111名，30歳台113名，40歳台92名，50歳台99名，60歳台108名），女性558名（年代別内訳：20歳台112名，30歳台104名，40歳台120名，50歳台109名，60歳台113名），合計1,081名のアンケート調査では，「肩こり対処法の効果実感」で病院（n＝45）は「効果を実感できていた，実感できている」が57.8％，「効果を実感できなかった，実感できていない」が42.2％であり，マッサージ店（n＝106）のそれぞれ55.7％，44.3％^2）との差がなかったとの結果もあり，医療機関での治療の効果は限定的であると考えられる．

　ハイドロリリースは，筋などの膜に生理食塩水などを注入して除痛する方法である^3）．これまで，ハイドロリリースの手技や注射する部位あるいは安全性に対する報告^4～7）はみられるが，有効率や有効期間に対する文献的報告はほとんどない．われわれは，肩こりを有する症例に対しハイドロリリースを行い，その効果を検証したため報告する．