焦点 看護におけるeffectiveness research―RCTを超えて
effectiveness researchの確立に向けて―Ivo Abraham先生講義より
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学看護学部
キーワード:
effectiveness
,
efficacy
,
effectiveness research
,
RCT
Keyword:
effectiveness
,
efficacy
,
effectiveness research
,
RCT
pp.469-472
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100337
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現代の健康問題を解決するには
講演のなかでAbraham先生も示しておられるように,現在の健康問題の多くは慢性疾患であり,そのほとんどは生活習慣に起因する。共通の好ましくない生活習慣が背景にあるので,高血圧,糖尿病,脳卒中などの問題は重複して起こり,これに加齢による心身の機能低下が問題を深刻化させていく。治療による完治は望めない。「生活習慣病」(日野原,1978)とはたいへん的を射たネーミングだと思うが,「生活」に関しては,自分たちには専門性がないので歯が立たないと思ったのか,医学の分野では「メタボリックシンドローム」という概念で,相変わらず生理機能の面からこの問題を捉えようとしている。
「生活」はごちゃごちゃしている。しかし現代の健康問題が生活に起因する以上,避けては通れない。どのように日常生活を送るかということのなかに,予防があり,治療があり,リハビリがあり,そして健康増進がある。そして,この毒にも薬にもなる生活を創造していくのは哲人や聖人ではなく,山ほどの欲望と誘惑に弱い意志と軟弱な身体しかもたない私のような人々である。「糖分は控えて」といわれたところで,ケーキに伸ばした手をひっこめることはできない。Abraham先生は講義のなかで,「看護職が行なっている活動の80%は患者のセルフマネジメント力を育てること」と繰り返し述べられ,このことが実際の療法の効果を大きく左右する鍵だと強調されていた。
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