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【要 旨】
目 的:腱板修復時に腱板にかかる張力(RT)は術後の腱生着の可否に大きな影響を与えると考えられているが,その詳細は不明である.本研究の目的は,鏡視下腱板修復術(arthroscopic rotator cuff repair:ARCR)において術前MRI所見とRTとの関連を調べるとともに,術後腱板の生着の可否に対するRTの予測能を評価することである.
対象および方法:当科で行ったARCR例のうち,完全に欠損部をおおえた全層断裂で6ヵ月以上の経過観察が可能であった症例を対象とした.RTは肩甲骨面30°外転位で,Davidsonらの方法に従って測定した.術前MRI所見とRTとの相関を調べるとともに,RTを含めた術中所見に関し,修復腱板の再断裂を予測する因子を二項ロジスティック回帰分析で評価した.また再断裂に対するRTのカットオフ値をreceiver operating characteristic(ROC)曲線で決定した.
結 果:120肩が対象となった.平均RTは26.6±12.6 Nで,再断裂は29肩(24.2%)に認めた.術前MRI所見のうちRTと有意な相関があったのは内外(ML)および前後(AP)方向の断裂サイズ,Cofield分類,geometric分類,棘上筋と棘下筋の脂肪浸潤であったが,重回帰分析で有意であったのはMLのみであった.術中所見のうちRTはgeometric分類とともにRIを予測する有意な因子であった.大断裂以上の断裂における再断裂に対するRTのカットオフ値は35.6 Nであった.
結 論:術前MRIにおいて断裂の短縮の程度のみがRTと強く相関していた.また術中にRTを測定することは,術後の腱板生着の可否を予測するのに有用であることが明らかとなった.
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