Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
目 的:肩甲下筋腱(subscapularis tendon:SSC)をsuture bridge法で関節鏡視下に修復した術後の腱板修復状態と臨床成績を後ろ向きに報告することである.
対象および方法:関節鏡視SSC修復術を行った症例のうち,術後2年以上経過観察可能であった101(男性57,女性44)肩で平均年齢66(32~85)歳である.上腕二頭筋長頭腱が残存している症例では,全例腱固定術か腱切離を行った.評価項目は自動関節可動域(ROM),belly press test,bear-hug testを行い評価した.臨床成績はUniversity of California, Los Angeles score(UCLA),American Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)scoreを術前と最終経過観察時に評価した.SSCの修復状態と脂肪浸潤の程度は術後平均14(12~58)ヵ月で評価した.
結 果:術前と比較し,ROMでは屈曲と内旋,臨床成績はUCLA,ASES scoreともに術前より有意に術後改善した.再断裂は5肩(5%)にみられた.再断裂例では修復例と比較すると有意に臨床成績が低かった.脂肪浸潤は修復例で術前より有意に改善した.一方再断裂例では改善しなかった.Belly press test,bear hug testは術後有意に改善したが,修復状態が良好でも術前の脂肪浸潤の程度が強い症例は筋力低下が残存した.
結 論:Suture bridge法を用いた鏡視下SSC修復術により大断裂や脂肪浸潤の程度が強くても,良好な臨床成績と低い再断裂率が得られることがわかった.脂肪浸潤は修復状態が良好であれば改善した.術前の脂肪浸潤の程度が強い症例では修復状態が良好でも筋力低下が残存した.
© Nankodo Co., Ltd., 2020