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【要 旨】
目 的:末期変形性足関節症(OA)に対する手術的治療に人工足関節全置換術(TAA)がある.術前画像で距骨の圧潰などを認める症例に対して,距骨コンポーネントの沈み込みを予防するために,もともとは距骨壊死に対する手術に使用されているカスタムメイドの人工距骨を距骨コンポーネントとして脛骨コンポーネントと併用した人工足関節置換術(combined TAA)を施行した.本研究でcombined TAAと通常の表面置換型の距骨コンポーネントを用いたTAA(standard TAA)との臨床成績を比較したので報告する.
対象および方法:2009~2013年にcombined TAAを施行した10例10足(男性2例,女性8例)と,standard TAAを施行した症例の中で,年齢や性別,経過観察期間を合わせた12例12足(男性1例,女性11例)を対象とした.全例末期OAであった.
Combined TAA群とstandard TAA群の手術時平均年齢は71(61~82)歳と75(62~82)歳で,平均経過観察期間は58(43~81)ヵ月と64(48~88)ヵ月であった.Japanese Society for Surgery of the Foot ankle/hindfoot scale(JSSFスケール)とthe Ankle Osteoarthritis Scale(AOSスケール),the Self-Administered Foot Evaluation Questionnaire(SAFE-Q)を用いて評価した.
結 果:Combined TAA群とstandard TAA群において,JSSFスケールは術前44と49から術後89と72に改善していた.AOSスケールの疼痛と機能に関しては,combined TAA群で術前5.8と5.5から術後2.5と2.2に改善し,standard TAA群で術前8.6と7.1から術後2.5と3.4に改善した.術後のSAFE-Qに関しては,combined TAA群とstandard TAA群はそれぞれ痛み・痛み関連が76と70,身体機能・日常生活の状態が66と55,社会生活機能が73と62,靴関連が73と65,全体的健康感が78と67であった.術後JSSFスケールにおいてcombined TAA群がstandard TAA群より有意に良好であった.
結 論:Combined TAAはstandard TAAと比較してよりよい臨床成績が得られた.
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