プログレス
人工関節全置換術
二ノ宮 節夫
1
1東京大学整形外科
pp.783
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102741
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慢性関節リウマチ,変形性関節症,外傷などにより生じた関節の変形,破壊,動揺関節などに対し,人工的な関節で置換する試みは1960年前後に開始され,現在では整形外科領域での重要な手術法の一つとなったが,現在でも未解決な数々の問題をかかえたままで,手術件数は増加の一途を辿っている現状である.
人工関節は歴史的にはまず股関節で試みられた.McKeeとWatson-Farrarが金属性の人工臼蓋と人工骨頭による人工股関節を開発し,やや遅れてCharnleyが高分子ポリエチレン(HDP)製の人工臼蓋と金属性の人工骨頭をメチルメタクリレートで骨に固定する方法を考案してやがてこの方法が人工股関節の主流となった.その後にも新しいタイプが発表され,問題があるため普及せずに消えていった.Charnley型の流れをくむものにはMuller型,T-28型,Harris型,などがある.一方,骨への固定に合成樹脂を使用せず,それ自体で固定する(self-locking)方式の人工骨頭も開発されている.
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