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肘関節内側・外側上顆炎に対する多血小板血漿治療
Platelet-rich plasma therapy for medial or lateral epicondylitis of the elbow
吉田 衛
1,2
,
斎藤 充
2
M. Yoshida
1,2
,
M. Saito
2
1西埼玉中央病院整形外科
2東京慈恵会医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nishisaitama-Chuo National Hospital, Tokorozawa
キーワード:
platelet-rich plasma therapy
,
medial/lateral elbow epicondylitis
,
enthesopathy
,
tendinopathy
Keyword:
platelet-rich plasma therapy
,
medial/lateral elbow epicondylitis
,
enthesopathy
,
tendinopathy
pp.1286-1292
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1286
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は じ め に
肘関節外側上顆炎は,35~55歳の年代に多くみられ,その罹患率は1~3%であり,さまざまなスポーツ,パソコン操作,徒手作業労働などにおけるいわゆる「使い過ぎ」が発生原因であり,そこで生じる腱付着部組織の微細損傷の修復不全とその後の組織変性,マイクロシャントを伴う異常微細血管網の形成などが主病態である腱付着部症である1~3).一方,内側上顆炎は,外側上顆炎と比較し,その罹患率は低いが,同様の機序で発生すると考えられ,野球,テニス,ゴルフ,最近ではボルダリングなどのスポーツでみられる4).
肘外側上顆炎の病態・進行分類は,一般に広く普及したものはなく,MRI所見に基づいた分類が報告されている.上原らは,肘関節short tau inversion recovery(STIR)冠状断像の短橈側手根伸筋腱起始部の所見から,type Ⅰ高輝度変化,type Ⅱ関節液と同等の強い高輝度変化(分層または部分断裂),type Ⅲ短橈側手根伸筋腱起始部の断裂断端の存在(全層断裂)の三つに分類し,それぞれ肘関節鏡の鏡視所見に基づく分類であるBaker分類のtype Ⅰ~Ⅲに相応することを報告した5).また,Chaらは,MRI冠状断像の所見から伸筋腱と靱帯の病態を,0:normal,1:mild,2:moderate,3:severeの4つに分類した6).現況では,病態の進行に伴う腱付着部全層断裂の発生はまれであり,頻回のステロイド注射による断裂が主であると推察される.また,病態の進行に伴い,腕橈関節内に滑膜ひだであるsynovial fringeがみられることもある.
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