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【要 旨】
目 的:上腕二頭筋長頭腱(long head of the biceps:LHB)の腱障害は,組織学的変性と硬さ(stiffness)の変化を引き起こすが,その予測は容易ではない.超音波剪断波エラストグラフィ(shear wave elastography:SWE)は,stiffnessの定量評価が可能な超音波装置である.本研究の目的は,腱障害を擁するLHBのSWE値と組織学的変性および生体力学的に測定したstiffnessとの関係を調査し,SWEがLHBの腱障害の予測に有用かを調べることである.
対象および方法:肩関節鏡手術において腱固定術を施行した18例18肩のLHBを採取した.術前に結節間溝内とその近位部でLHBのSWE値を計測した.組織学的変性はmodified Bonar scoreを用いて定量評価を行い,引張試験機でLHBのstiffnessを測定した.SWE値とmodified Bonar scoreおよびstiffnessとの相関を調べた.
結 果:LHBのSWE値は結節間溝内:502.1±113.6(SD)kPa,結節間溝近位部:439.4±123.3kPaであった.Stiffnessは39.3±19.2N/mmであった.LHBの結節間溝内のSWE値はmodified Bonar scoreと中等度の相関(r=-0.77)を示した.またLHBのSWE値はstiffnessと中等度の相関(結節間溝内:r=0.72,近位部:r=0.80)を示した.
結 論:SWEはLHBの腱障害による組織学的変性やstiffnessの変化をとらえることにより,LHBの腱障害の予測に有用な可能性がある.
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