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関連基礎知識
変形性膝関節症の治療ガイド
-――経口非ステロイド性抗炎症薬の副作用(腎障害)予防の観点から
Treatment guide for knee osteoarthritis;prevention of the side effect(kidney injury)of nonsteroidal anti-inflammatory drugs
鶴岡 秀一
1
,
山縣 邦弘
2
,
中田 研
3
,
石島 旨章
4
,
比嘉 辰伍
5
,
津村 弘
6
S. Tsuruoka
1
,
K. Yamagata
2
,
K. Nakata
3
,
M. Ishijima
4
,
S. Higa
5
,
H. Tsumura
6
1日本医科大学腎臓内科
2筑波大学腎臓内科
3大阪大学大学院スポーツ医学
4順天堂大学整形外科
5ファイザー株式会社アップジョン事業部門メディカル・アフェアーズ統括部
6大分大学整形外科
1Dept. of Nephrology, Nippon Medical School, Tokyo
キーワード:
NSAIDs
,
kidney injury
,
knee osteoarthritis
,
risk management
,
review
Keyword:
NSAIDs
,
kidney injury
,
knee osteoarthritis
,
risk management
,
review
pp.787-793
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_787
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は じ め に
変形性関節症(osteoarthritis:OA)は,運動器疾患の中でも頻度の高い退行性変性疾患である1).日本には痛みなど症状のある膝OA患者が推定780万人以上存在しており,80歳以上の女性の8割,男性では5割がKellgren-Lawrence分類2)でグレード2以上に分類される3).加齢とともに有病率が増加することから3),人口の高齢化に伴い,臨床現場ではさまざまな合併症,副作用のリスクをもつOA患者に接する機会が今後さらに多くなることが想定される.そのため,各種薬物の副作用リスクやそのマネジメント方法を理解しておくことは重要である.また,OAの症状としては疼痛や運動障害があるが,QOLが低下し4),ヘルスケア資源利用の増加,労働生産性の低下という形で社会的にも大きな負担となる5,6).適切な治療介入による疼痛改善や社会的負担の軽減は,超高齢社会の日本において今後取り組むべき重要な課題である.
非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)は,消化管障害,心血管障害,腎機能障害などの副作用リスクがあり7),特に高齢者では注意が必要であるが8),OA治療における使用頻度は高い9).本稿では,経口NSAIDsに着目し,本治療が推奨される膝OAの病態やNSAIDsによる腎障害のメカニズム,リスク因子,およびNSAIDs投与時の腎機能のモニタリング方法を解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020