Japanese
English
論説
骨吸収抑制製剤が腎機能に与える影響
-――ビスホスホネートとデノスマブの1年成績
Clinical efficacy effect of the antiresorptive drugs to renal function in patients with primary osteoporosis;one year results of bisphosphonate and denosumab
永井 隆士
1
,
雨宮 雷太
1
,
石川 紘司
1
,
黒田 拓馬
1
,
大下 優介
2
,
阪本 桂造
1
,
稲垣 克記
1
T. Nagai
1
,
R. Amemiya
1
,
K. Ishikawa
1
,
T. Kuroda
1
,
Y. Oshita
2
,
K. Sakamoto
1
,
K. Inagaki
1
1昭和大学整形外科
2昭和大学横浜市北部病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Showa University School of Medicine, Tokyo
キーワード:
ibandronate
,
bisphosphonate
,
denosumab
,
renal function
,
estimate glomerular filtration rate
Keyword:
ibandronate
,
bisphosphonate
,
denosumab
,
renal function
,
estimate glomerular filtration rate
pp.1-5
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1
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は じ め に
本邦では骨粗鬆症患者は1,280万人以上存在する1)と推定されている.骨粗鬆症治療薬の一つであるビスホスホネート製剤(BP製剤)は,1996年にエチドロネート製剤が,2001年から窒素含有BP製剤が臨床の場で使用可能となった.現在では,投与方法(内服,点滴,静注)や投与間隔(連日,週1回,月1回,年1回)が豊富であり,患者の生活様式に合わせて薬剤選択することが可能となっている.しかしBP製剤は骨折予防2,3)や骨密度増加効果4,5)などの恩恵が大きい一方で,長期投与による非定型大腿骨骨折6)や急性期反応7),顎骨壊死8)などの負の面も報告されている.また,腎機能に影響を与えるとしてアレンドロン酸ナトリウム(アレンドロン酸)は,推定糸球体濾過量(estimate glomerular filtration rate:eGFR)≧35ml/分/1.73m2と透析の場合は慎重投与,eGFR<35ml/分/1.73m2は使用回避となっている9).その他のBP製剤も,同じように腎機能によって慎重投与や使用回避となっている.
ここで,BP製剤は腎機能に対して,みな同じように悪影響をもたらすのであろうかという疑問が生じる.本稿では,BP製剤の腎機能への影響を調べるために,各BP製剤および抗receptor activator for nuclear factor-κB ligand(RANKL)抗体製剤(デノスマブ)とエルデカルシトールも合わせて投与前と投与1年後の腎機能を比較した.
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