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連載 卒後研修講座
脊椎疾患由来の慢性疼痛の治療戦略
-――当科における治療の変遷と今後の展望
Treatment strategy for chronic pain due to spinal disease
山田 圭
1
,
佐藤 公昭
1
,
横須賀 公章
1
,
志波 直人
1
K. Yamada
1
,
K. Sato
1
,
K. Yokosuka
1
,
N. Shiba
1
1久留米大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kurume University School of Medicine, Kurume
キーワード:
chronic pain
,
sensitization
,
locomotive syndrome
Keyword:
chronic pain
,
sensitization
,
locomotive syndrome
pp.51-60
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_51
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は じ め に
骨・関節・筋肉・神経を含む運動器由来の疼痛は,交通事故,労災あるいはスポーツによる外傷,また加齢による変性を契機に発生する.通常,障害部位が修復されれば,痛みは改善するが,修復にかかると見込まれる期間を経過しても痛みが持続する慢性疼痛は患者の日常生活動作(ADL)を低下させ,症状による身体的負担のみならず社会的経済的負担により患者を追い詰める結果となる.運動器の慢性疼痛の頻度はNakamuraらの報告によると15.6%といわれているが,中でも腰痛,頚部痛,肩関節痛が多く,脊椎由来の痛みが多いことがわかる1).
国はこの現状に対し,慢性疼痛の対策事業を行い対応しているが,医学部における卒前・卒後教育の中で慢性疼痛に関する教育はまだ確立するにいたっていない.特に脊椎疾患患者は運動障害や持続する痛みによるADL低下により,心理的負担も多く臨床の現場で患者の対応に苦慮することも多い.慢性疼痛に対する基礎知識がなければその対応はさらにむずかしくなる.
本稿では脊椎由来の慢性疼痛に対する治療戦略について当科における治療方針の変遷,さらに今後の治療の展望について述べていきたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2019