整形トピックス
新しい医療を切り開くMuse細胞の可能性
出澤 真理
1
1東北大学大学院細胞組織学
pp.440-440
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_440
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Multilineage-differentiating stress enduring(Muse)細胞は,ヒト生体に存在する腫瘍性をもたない多能性幹細胞であり,体のあらゆる細胞への分化能,ストレス耐性を特徴とする.定常的に骨髄から末梢血に動員されて各臓器に分配され,ミクロレベルで傷害・脱落細胞を置換し,組織恒常性の維持にかかわっている1).三菱ケミカルホールディングス社傘下の生命科学インスティテュート社が国の承認を得て,心筋梗塞,脳梗塞,表皮水疱症への治験を実施している.いずれの治験も血縁者やヒト白血球抗原(HLA)マッチングを必要とせず「ドナー由来Muse細胞の点滴での投与」によるものであり,投与後の免疫抑制剤投薬も不要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2019