整形トピックス
軟骨細胞分化におけるオートファジーの役割
堀米 洋二
1,2
,
小松 雅明
1
1新潟大学大学院遺伝子制御講座分子生物学
2新潟大学大学院整形外科
pp.836-836
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_836
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オートファジーとはリソソームにおいて細胞内成分を分解する機構の総称である.その中の一つ,マクロオートファジー(オートファジー)は,細胞質成分を取り囲んだオートファゴソームとリソソームが融合し,その内容物を消化する仕組みである.
当初,オートファジーは飢餓時に誘導される非選択的な細胞内蛋白質分解機構と考えられていた.しかし近年では,平常時でも恒常的に働くこと,選択的に細胞内成分を認識し,分解する機構も存在することが明らかとなった.2016年にノーベル賞を受賞した大隅良典博士らは,1990年代に出芽酵母においてオートファジー関連遺伝子を次々と同定した1).それらの多くがほ乳類においても保存されていることが明らかとなり,ノックアウトマウスなどのモデル生物を用いた逆遺伝学的解析によりその生理機能の解明がすすんだ.現在までに,オートファジーが細胞内浄化,細胞増殖,シグナル伝達,転写制御,免疫応答・抗原提示,ストレス応答といった多彩な生理機能に関与し,その異常が神経変性疾患,がん,感染症など,さまざまな疾患の病態に関与していることも明らかとなってきた.
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