今月の臨床 絨毛と胎盤をめぐる新知見
絨毛研究最前線
3.絨毛細胞とオートファジー
中島 彰俊
1
,
山中 美樹子
1
,
島 友子
1
,
斎藤 滋
1
1富山大学大学院医学薬学研究部産科婦人科学講座
pp.248-253
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102593
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はじめに
自然流産,妊娠高血圧症候群(pregnancy-induced hypertension : PIH),子宮内胎児発育遅延など周産期合併症の多くは胎盤形成と密接に関係していることがわかってきている.しかしながら,胎盤形成不全がなぜ起こるかの詳細については不明な点が多い.なかでも,ヒトの胎盤形成過程において絨毛外栄養膜細胞(extravillous trophoblast : EVT)が母体子宮内に浸潤しらせん動脈をremodelingする過程は必須であり,接着因子,サイトカイン,プロテアーゼ,成長因子などがさまざまな形でその制御機構にかかわることが報告されているが,不明な点も多く残されている.今回われわれは,今までとは違ったアプローチとして,細胞自身が持つオートファジー(自食作用)という機構に注目し,EVT浸潤の解明に迫った.
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