最新基礎科学/知っておきたい
オートファジーによる軟骨変性の抑制
高山 孝治
1
1神戸大学大学院医学研究科外科学講座整形外科学部門
pp.364-367
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408103020
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■はじめに
変形性関節症(OA)は関節軟骨の変性によって関節変形や疼痛を生じ,日常生活において著しい機能低下をもたらす.これまで研究により,関節軟骨のOA変化の原因としてメカニカルストレス,遺伝的要因,加齢などさまざまなものが報告されているが,いまだその詳細な制御機構は解明されていない.組織学的には軟骨細胞の減少および細胞外マトリックスの減少がOAの特徴とされている11).関節軟骨において,軟骨細胞は唯一の細胞であり,細胞外マトリックスの代謝を行っている7).したがって,軟骨細胞を健全な状態に保つことは,正常な関節軟骨を維持し,変性を抑制するために重要であると考えられる.
一方,細胞内のタンパク分解システムの一つであるオートファジー(自食作用)は,生物種間で高率に保存され,細胞内の不要なタンパクや損傷した器官を除去することにより,細胞内の環境を健全な状態に保つために重要な役割を果たしている3,8,10).老化によるオートファジーの低下は不要な物質の蓄積をもたらし,さまざまな老化現象や変性疾患に関与していることが示唆されている8).このようにオートファジーは変性疾患において重要な役割を果たしていることが示唆されているが,軟骨の変性疾患であるOAへのオートファジーの関与についてはいまだ不明である.そこでわれわれはヒト軟骨組織および軟骨細胞におけるオートファジーの発現の変化や影響を調べ,OAにおける役割について検討した.
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