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ドラッグリポジショニング法
尾池 崇嗣
1
1慶應義塾大学整形外科
pp.746-746
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_746
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ドラッグリポジショニングはある疾患への既存薬に新しい適応を発見する方法で,高騰する医療費を削減させる手段のひとつとして近年注目が集まっている.既存薬は臨床試験済であるため,実用化への臨床試験のいくつかを省くことができ,確立された製造工程使用でコスト削減が可能なため,新規創薬と比べ,低価格で生産できる可能性がある.現在,日本では約2,000の薬剤が使用されているが,それらの薬剤の薬理学的経路や標的の70~80%は未解明といわれており1),ドラッグリポジショニングの可能性は幅広い.
有名なドラッグリポジショニングの例をあげると,狭心症治療薬として開発されたシルデナフィルクエン酸塩が勃起不全治療薬として使用されていることや,あざらし肢症などの先天性障害児が生まれる結果となり販売中止となった鎮静薬サリドマイドが,日本では多発性骨髄腫での効果が認められ再認可を受けたことなどがあげられる.
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