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特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅰ.基礎研究
2.頚椎後縦靱帯骨化症の疾患関連遺伝子機能解析・治療開発に向けて
Characterization of ossification of posterior longitudinal ligament related genes.
宮本 健史
1
T. Miyamoto
1
1慶應義塾大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., School of Medicine, Keio University, Tokyo
キーワード:
OPLL
,
SNP
,
GWAS
,
RSPO2
,
Enpp1
Keyword:
OPLL
,
SNP
,
GWAS
,
RSPO2
,
Enpp1
pp.509-512
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_509
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は じ め に
後縦靱帯骨化症(OPLL)は椎体の後面を縦走する後縦靱帯が骨化する疾患であり,発症原因が不明であること,したがって骨化の発生や進行を抑制するための有効な治療法が存在しないこと,骨化による脊柱管の狭窄や神経根の圧迫などにより神経症状を呈すると日常生活などにも長く支障をきたすことなどから,厚生労働省のいわゆる難病に指定されている.神経脱落症状が出現するなど,進行した症例では手術的な治療法が選択されることもあるが,骨化傾向そのものは改善されないため術後も骨化が進行し,ときに再狭窄をきたすなど,その対策は重要である.筆者らは,OPLLを自然発症する動物モデルであるtip toe walking(ttw)マウスを用いて,そのOPLL形成機構を突き止めた.ヒトのOPLLはさまざまな要因が複雑に絡まって発症していると考えられ,このマウスを用いた発見がそのままヒトOPLL患者に使えるようになるわけではないと思われるが,少なくとも靱帯が骨化する機序の一端を解明したことは,この難病の治療法開発のヒントになると考えている.
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