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アンジオポエチン様因子2
田上 裕教
1
1熊本大学整形外科
pp.446-446
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_446
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アンジオポエチン様因子(angiopoietin-like protein:ANGPTL)は,N末にシグナルシークエンス配列,およびcoiled-coilドメインを,C末端にフィブリノーゲン様ドメインを有し,アンジオポエチンと類似の構造をもつ8種類の分泌型蛋白質ファミリーである.同ファミリー分子はアンジオポエチンの特異的受容体であるTie2やそのファミリーメンバーであるTie1には結合できないため1),その機能解明が望まれていた.
これまで筆者らはANGPTL2が生理的作用として,損傷組織における組織修復機構2)や,脂肪や腸管組織における組織リモデリングと恒常性維持に関与することを明らかにした3,4).最近,ANGPTL2が内軟骨性骨化における軟骨細胞の肥大分化と長管骨成長を促進させることも見出した.ANGPTL2は新生仔マウス長管骨骨端軟骨の,特に静止軟骨細胞および増殖軟骨細胞に多く発現し,軟骨細胞外基質として細胞周囲に蓄積され,α5β1インテグリン/p38 mitogen-activated protein kinase(p38 MAPK)シグナル活性化を介し軟骨の肥大分化とそれに伴う長管骨成長を促進していた5).さらにANGPTL2は,骨折修復過程における内軟骨性骨化期の軟骨細胞にも発現し,その周囲細胞外基質に蓄積していたことから,当該分子が骨折の治癒過程でも重要な役割をもつ可能性が示唆された5).
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