Japanese
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特集 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新しい治療
2.インスリン様成長因子-I(IGF-I)
Insulin-like Growth Factor I
相澤 仁志
1
,
郭 伸
2
Hitoshi Aizawa
1
,
Shin Kwak
2
1旭川医科大学第一内科
2東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻神経内科学
1First Department of Internal Medicine, Asahikawa Medical College
2Department of Neurology, Division of Neuroscience, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
insulin-like growth factor I
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
neuronal death
Keyword:
insulin-like growth factor I
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
neuronal death
pp.606-613
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901307
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経細胞が選択的に変性,脱落する代表的な神経変性疾患である。ALSの中に家族性のものがあり,その中の一部では,superoxide dismutase(SOD)1遺伝子の変異により発症することが明らかにされているが,他の遺伝性ALS,およびALSの大多数を占める非遺伝性ALSの病因については突き止められていない。現在まで,ALSの原因あるいは病態に関する仮説には,興奮性アミノ酸仮説48),神経栄養因子(neurotrophic factor)欠乏説4),SOD 1の異常説,自己免疫仮説,neuro-filamentの異常説,微量金属による細胞障害説,ウイルス感染説などがある。これらの仮説に基づき治療薬としての可能性を有する物質が挙げられている。興奮性アミノ酸仮説に基づいて,主にシナプス前のグルタミン酸の分泌を抑制する作用のあるriluzoleが米国で発売され,軽微ではあるがALSに延命効果があるという30)。しかし,脱力などの運動障害には効果がなく,単独では十分満足のいく治療薬とは言い難い。神経栄養因子に関しては,その生存維持効果,分化誘導効果を期待してciliary neurotrophic factor(CNTF)3,42),brain derived neurotrophic factor(BDNF),インスリン様成長因子-I(IGF-I)などの臨床治験が行われている。
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