今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 E男性因子に対する治療
【精巣内精子採取術】
91.Conventional TESEとmicrodissection TESEの適応と方法,使い分けについて教えてください.
岡田 弘
1
1獨協医科大学越谷病院泌尿器科
pp.621-623
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102080
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精巣内採取術(testicular sperm extraction:TESE)は,射精液中に精子の認められない無精子症や射精障害の患者に対して,精子を獲得する手段として行われる.この結果得られた精巣精子は受精能がないため,通常の体外受精では用いることができず,すべて顕微授精(ICSI)に供されることになる.したがって,TESE─ICSIで1つの完結したARTの治療単位である.
無精子症は,精路閉塞がその原因である閉塞性無精子症(obstructive azoospermia:OA)と精子形成障害が原因である非閉塞性無精子症(nonobstructive azoospemia:NOA)に分けられる.OAの治療の第一選択は,精路再建であるが,精管欠損や閉塞距離が長いため再建不可能な場合には,TESEないしは顕微鏡下精巣上体管精子吸引術(microsurgical epidydimal sperm aspiration:MESA)が行われる.TESEに比較してMESEのほうが運動精子を多数獲得できるため,施設によってはOAに対してはMESAを行っている場合もあるが,採取された精巣上体液中に白血球の混入が多いことや,顕微鏡手術(microsurgery)の技術が必要であることや術後の疼痛がTESEよりも強いことから,多くの施設ではTESEが行われている.
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