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は じ め に
高齢者における骨粗鬆症関連骨折は日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)が低下するため,生命予後不良因子とされている.今日まで日本人の平均寿命は順調に延長してきたが,健康寿命とのギャップ「男性は平均9歳,女性は平均12歳」は依然乖離したままである1).老いては,ぴんぴんころりが目標とされるが,そのためにはいかに健康に老いるか「健康寿命の延長」が重要である.骨粗鬆症患者は全国で推定約1,300万人とされ2),健康寿命の延長のためには認知症の予防とともに核となる重要な疾患である.
今日,骨粗鬆症治療薬は内服・注射製剤と種々登場し選択肢は豊富になったが,高齢患者における合併疾患の多さから多剤服用(ポリファーマシー)が大きな問題となっている.内服薬が5種類以上になるとフレイルのリスクが上昇するとの報告もあり3),転倒などによる骨折予防のためにも減薬は必要不可欠な状況となった.特に,高齢者における骨粗鬆症治療は既存疾患の治療と並行して行われるため,服薬コンプライアンス・アドヒアランスの問題から,治療薬の選定,導入,維持に苦慮することが多い.本研究で使用した月1回の静脈内投与を可能としたビスホスホネート系薬剤であるイバンドロン酸ナトリウム水和物(ibandronate sodium hydrate:IBN)静注製剤は,その他同系内服薬と比較して生体内利用率が高いため,高い有効性を獲得できることが予想される薬剤である.しかしながら,長期投与例かつ他剤からIBNへの変更症例と新規投与症例を比較・検討した報告はみられない.本研究の目的は,投与開始後24ヵ月間の経過観察が可能であった症例について,薬剤有効性(薬剤変更による骨代謝マーカー,骨密度変化への影響)を明らかにすることである.
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