整形トピックス
脊椎椎間板変性へのオートファジーの関与とその脊索由来細胞における恒常性維持機構の可能性
由留部 崇
1
,
角谷 賢一朗
1
,
高田 徹
2
,
黒田 良祐
1
,
西田 康太郎
3
1神戸大学大学院整形外科
2健心会神戸ほくと病院整形外科
3神戸大学大学院整形外科脊椎外科学部門
pp.1232-1232
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1232
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脊椎椎間板は中心の髄核を周囲の線維輪が取り囲み,軟骨終板で椎体と隔てられた特徴的な構造をとる1).椎間板髄核は脊索より発生し2),ヒトの脊索由来細胞は多くが青年期に消失する3).脊索由来細胞の消失に一致して軟骨様細胞が出現し3),細胞外基質の分解産物4)やアポトーシス死細胞3)が増加することから脊索由来細胞の椎間板恒常性への寄与が示唆されるものの,いまだ証明にはいたってない.また,椎間板は人体最大の無血管組織であり加齢や喫煙に伴う軟骨終板の硬化・石灰化により容易に栄養不足に陥ることから1),低栄養は変性の主たる契機の一つとされる.そこでわれわれは,低栄養条件下で細胞が自己の余剰蛋白や老廃物を分解,再利用して生存を図る細胞内クリアランス機構である自食作用オートファジー5)が脊椎椎間板の恒常性維持に重要な役割を果たすと仮説を立てた.脊索由来細胞が終生椎間板内に留まるラットを用い2),変性過程へのオートファジーの関与について検討を行った.
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