Japanese
English
特集 椎間板と痛み
椎間板変性の疼痛発生機序について
Patho-mechanism of Disc Degeneration and Associated Clinical Symptoms
西田 康太郎
1
,
高田 徹
1
,
前野 耕一郎
1
,
角谷 賢一朗
1
,
由留部 崇
1
,
黒坂 昌弘
1
Kotaro NISHIDA
1
,
Toru TAKADA
1
,
Koichiro MAENO
1
,
Kenichiro KAKUTANI
1
,
Takashi YURUBE
1
,
Masahiro KUROSAKA
1
1神戸大学大学院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Kobe University
キーワード:
椎間板(intervertebral disc)
,
疼痛(pain)
,
椎間板変性(disc degeneration)
Keyword:
椎間板(intervertebral disc)
,
疼痛(pain)
,
椎間板変性(disc degeneration)
pp.25-31
発行日 2015年1月25日
Published Date 2015/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200007
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はじめに
椎間板変性と腰痛をはじめとした臨床症状との関連については古くから知られており,最近ではCheungら3)による大々的な調査により統計学的にも証明されている.脊椎にとってきわめて重要な役割を演じている椎間板の変性が進むことで,椎間板ヘルニアや椎間不安定性,脊柱管の狭窄,脊柱側弯・後弯などの多くの脊椎疾患の原因となっていることに疑いの余地はない.しかし,腰痛や根性痛をはじめとする症状がいかに発現するのか,その個々の症状発現に関する詳細な病態あるいは椎間板変性そのものの発生機序もほとんどわかっていないのが実情である.顕著な脊柱変形などは除くとして,椎間板変性に起因する腰痛あるいは根性痛のメカニズムは,理論的には主に次の3つに集約可能と思われる.1つ目は椎間板ヘルニアに伴う神経組織の直接的な圧迫によるもの.2つ目は椎間板,特に髄核の有する免疫特権とこれが宿主免疫に曝露されることによって生じる自己免疫応答に端を発した炎症性サイトカインの産生.3つ目は椎間不安定と,その後生じる二次性の椎間関節症性変化やすべり/変形,または神経組織に対する動的な圧迫や血流障害である.本稿では,それぞれについて私見も含めてもう少し詳しく論述したい.
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