Japanese
English
経験と考察
骨転移患者に対する入院リハビリテーションを介した整形外科の早期介入への取り組み
Early intervention efforts through rehabilitation for patients with bone metastases
村田 博昭
1
,
中川 和也
2
,
奥平 由香
2
,
熊野 宏治
2
,
今井 寛
1
,
西垣 泰典
1
H. Murata
1
,
K. Nakagawa
2
,
Y. Okudaira
2
,
K. Kumano
2
,
K. Imai
1
,
Y. Nishigaki
1
1パナソニック健康保険組合松下記念病院整形外科
2パナソニック健康保険組合松下記念病院リハビリテーション科
1Dept. of Orthop. Surg., Matsushita Memorial Hospital, Moriguchi
キーワード:
bone metastasis
,
rehabilitation
,
multidisciplinary team
Keyword:
bone metastasis
,
rehabilitation
,
multidisciplinary team
pp.1120-1123
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1120
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は じ め に
がん治療の進歩により,骨転移の患者数は増加している.骨転移患者は骨折や麻痺が生じると日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が急激に低下するため,骨折や麻痺が生じる前に診断や治療が必要である1).ところが,がん患者を担当する原発科担当医師の骨転移への意識は低く,病的骨折や脊髄麻痺を生じた後に整形外科へ紹介されることが多い2).一方,がん患者のADLやQOLを高めようとする動きとしてがんリハビリテーション(リハ)の早期介入がすすめられている3).しかし,骨転移に関しては現状では十分な対応ができているとはいえない.
当院においても以前は骨転移患者のリハ依頼は脊髄麻痺後や退院・転院前の廃用予防訓練が中心であった.骨転移に関する紹介や相談は少なく,手術したほうがよいと考えられる症例に経過観察や放射線治療が行われていた.また,当院では整形外科がリハ科を兼務していることからリハスタッフや看護師から麻痺や骨折のリスク,安静度,介助方法の相談が多かった.このような現状を改善するためにリハを中心とした入院中の骨転移患者の管理を2014年から開始した.目的は病的骨折や麻痺を予防するだけでなく,緩和医療的にもリハの早期介入を行い,骨転移に関して気軽に相談できる環境整備を作ることであった.本稿では,その取り組み方法を紹介し,その前後での医師,メディカルスタッフの骨転移への意識変化について検討した.
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