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TRAF6
TRAF6
大矢 昭仁
1
1慶應義塾大学整形外科
pp.1074-1074
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1074
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TRAFとはtumor necrosis factor(TNF)receptor associated-factorの略でCD40やインターロイキン-1(IL-1)の細胞内シグナル伝達因子として研究された.1994年にRotheら1)がTNFR2に結合する蛋白としてTRAF1および2を報告したのをはじめとして,現在TRAF7まで報告されている.TRAF6はreceptor activator NF-κB(RANK)の直下に存在し,破骨細胞の分化,形成を制御する細胞内シグナルを伝達するとともに,IL-1βやリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)のシグナルも伝達し炎症に関するシグナルも伝達する.このためTRAF6は生体の炎症や骨代謝,癌の発生などさまざまな現象に関与しており,これまでにも多くの研究成果が報告されている.
近年分子生物学の進歩により,さまざまな細胞にシグナルを伝達する蛋白や,それらをコードする遺伝子の機能が明らかとなってきており,さまざまな遺伝子の変異により発症する疾患の病態などが解明されてきている.遺伝子の研究においては,ターゲットとした遺伝子を意図的に欠損させた動物モデルが有用で,多くの遺伝子に関してノックアウト(KO)マウスが作成され,研究の発展に貢献してきた.TRAF6も例外ではなく,世界中の研究者が競い合うように世界初のTRAF6 KOマウス作成を試みてきた歴史がある.
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