Japanese
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整形外科診療における最先端技術 Ⅲ.手術支援
1.ナビゲーション
簡易ナビゲーションシステム,下肢牽引手術台を併用した仰臥位前外側進入関節包靱帯温存人工股関節全置換術の手術手技
Surgical technique of capsular ligament preserration;total hip arthroplasty with portable navigation system and leg positioner system
金治 有彦
1
,
大矢 昭仁
1
,
小川 亮
1
,
二木 康夫
1
,
中村 雅也
1
,
松本 守雄
1
A. Kanaji
1
,
A. Oya
1
,
R. Ogawa
1
,
Y. Niki
1
,
M. Nakamura
1
,
M. Matsumoto
1
1慶應義塾大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Keio University, School of Medicine, Tokyo
キーワード:
THA
,
capsular ligament
Keyword:
THA
,
capsular ligament
pp.153-156
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei75_153
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は じ め に
1998年のCrockettらによる提唱以来,患者の肉体的,社会的負担を軽減しようとする試みとして筋温存型人工股関節全置換術(minimally invasive total hip arthroplasty:MIS-THA)が臼蓋形成不全股の多い本邦においても広く施行されている1~6).前方系進入によるMIS-THAの際には一般的に関節包切除が行われるが,関節包には股関節安定性に寄与する腸骨大腿靱帯(垂直束,水平束),恥骨大腿靱帯,坐骨大腿靱帯が存在することに注意すべきである.若年者で活動性が高く脱臼リスクが高い症例で,脚長差がないために脚延長が困難なTHAの場合には,関節包を切除すると関節不安定性悪化により脱臼が生じる可能性がある.その一方で,関節包靱帯温存手技を用いたTHAでは従来法に比して関節安定性の高い手術が可能であるものの,術中視野の確保が困難であるためカップ設置不良などの合併症発生リスクや過度の手術時間延長などの懸念も生じうる.そこで当科では,簡易ナビゲーションシステム[portable navigation(PN), HipAlign(OrthAlign社)](図1),下肢牽引手術台(Hana table;ミズホ社)[図2]を併用しつつ関節包靱帯(腸骨大腿靱帯垂直束,恥骨大腿靱帯,坐骨大腿靱帯)温存THAを施行しているため,その実際の手術手技と短期成績について述べる.
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