書評
『Must & Never 大腿骨頚部・転子部骨折の治療と管理』
新藤 正輝
1
1帝京大学医学部附属病院外傷センター
pp.1324-1324
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1324
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- 文献概要
骨粗鬆症に起因する大腿骨近位部骨折の年間発生率は2007年の時点で約15万人と報告され,2020年には約25万人,2030年には約30万人に増加することが推計されている.わが国の急速な少子高齢化を考えると,今後の大腿骨近位部骨折の治療が現在以上に大きな位置を占めることになるのは間違いない.そうなることを考えると,すべての整形外科医,特に若手の整形外科医にとって本骨折の病態,標準的な手術的・保存的治療,手術を成功させるためのコツ,周術期の管理,術後のリハビリテーション・地域連携,そして脆弱性骨折の予防も含めた退院後の指導についてまで包括的に理解することは不可欠となるであろう.本書は,その目的達成のために有用な一冊となる.
本書の内容は,大腿骨近位部骨折についての「特徴と基本的対応」,「診療の実際」,「症例提示とその解説」の大きな三つに加えて,高齢者特有の抗血栓薬服用例や重篤な基礎疾患合併例に対する周術期の対応や注意点が解説された「高齢者骨折の特異性」と,比較的まれな「若年者の大腿骨近位部骨折の治療方針」についての章で構成されている.
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