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超音波内視鏡の今昔
超音波内視鏡(EUS)は,当初は胆膵領域の診断に特化した手技として発展してきました.とりわけEUS下組織採取(EUS-TA)の登場は,組織学的診断や手術適応の判断に大きな影響を与え,その診断的有用性を確立させました.一方で,胆道・膵疾患に対する治療的介入の中心的役割は,長らく内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)が担っており,「EUSは診断,治療介入はERCP」という明確な役割分担が定着していました.ERCPが困難な胆道閉塞症例に対しては経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)が標準的な救済手段とされ,術後再建腸管や十二指腸閉塞などの乳頭到達困難例や胆管挿管困難例では,この制約は “避けられないもの” として受け入れられていました.
近年,EUSはスクリーニングやTAによる組織採取などの単なる診断モダリティではなく,治療手技としての役割へと進化しています.その代表的なものがEUS下胆道ドレナージ(EUS-BD)であり,とくにEUS-CDSおよびEUS-HGSが代表的な手技として普及しています.EUS-BDの歴史は1996年のWiersemaら1)によるEUS-guided cholangiographyに始まり,その後2001年にGiovanniniら2)がEUS-CDS,2003年にはBurmesterら3)がEUS-HGSを報告しました.デバイスの開発や技術の標準化が進むにつれ,応用的アプローチも登場し,EUS-BDは臨床における胆道ドレナージの確立した選択肢として発展してきました.
現在では,EUS-BDはERCPに代わる有力なアプローチとして世界的に認識されており,診断から治療,再介入に至る一連の戦略において中核的な役割を担うようになっています.とくに従来は外科的バイパス術やPTBDに依存せざるをえなかった症例に対し,EUS-BDが治療選択肢を大きく広げました.また,近年の国内外のガイドラインでもその適応や安全性が明確に示され4,5),臨床現場において標準治療の一つとして位置づけられています.

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