特集 大人医師の復習帳―昔の常識,今でも大丈夫?
第6章 消化管
[胃食道逆流症(GERD)]内視鏡で治療できます
井上 晴洋
1
1昭和医科大学江東豊洲病院 消化器センター
pp.744-746
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika137_744
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胃食道逆流症の今昔
薬物療法として以前は胃酸を中和するような薬が処方されていました.一方,胃食道逆流症(GERD)の典型例では食道裂孔ヘルニア(多くは滑脱型)を伴うことが多く,Nissen手術が施行されていました.1956年にRudolph Nissenが報告した手術法です1).そのような背景のもと,次項に記載するような,酸分泌抑制薬の登場と進化と外科領域では腹腔鏡下手術への展開がありました.
一方,内視鏡医からは,内視鏡的に逆流防止術を行うという医学的挑戦がありました.Endo-cinch, Stretta, Links,Esophyx, Medius, GERD-Xなど,さまざまの試みがありました.しかしいずれも一長一短があり,また器材が高額なことなどからも,標準治療となったものはありません.そのような背景のなかで,われわれは広範囲の下部食道・噴門の粘膜切除後には強力な逆流防止効果が生まれることを報告しました2).そしてその経験が以下の治療法の開発につながります.逆流防止粘膜切除術(ARMS),逆流防止粘膜焼灼術(ARMA),逆流防止粘膜形成術(ARMP)が登場しました3~5).三つのsystematic reviewから,安全性と有効性は証明されています6~8).ただし逆流防止力は,外科手術ほど強くありません.一方,低コストの治療法であることが最大の特徴でもあります.ARMSと同時期に下部食道粘膜を主に切除する内視鏡的粘膜下剝離術GERD(ESD-G)も報告されています9).ARMS,ARMA,ARMPは胃側で行うことが基本的な違いです.

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