特集 最近よく聞く他科の薬―先生の外来にこの薬を使っている患者さんがきますよ
第6章 消化器
[抗悪性腫瘍薬(グレリン様作用薬)]アナモレリン(エドルミズ®)
石田 典仁
1
,
平田 賢郎
2
1慶應義塾大学医学部 内科学教室(消化器)
2慶應義塾大学病院 腫瘍センター
pp.581-585
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_581
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▪アナモレリンは,現在,日本国内でがん悪液質の治療薬として承認されている唯一の薬剤である.
▪視床下部および脳下垂体に作用し,成長ホルモン(GH)分泌を促進することで,筋肉量の増加と食欲亢進という二重の作用を有し,がん悪液質を改善する.
▪主な副作用として,QT延長による致死的不整脈,糖尿病の悪化,肝機能障害などが報告されており,とくにQT延長に伴う不整脈には注意が必要である.内服開始前には必ず心機能評価を行い,不整脈や心機能異常が認められた場合には循環器内科へのコンサルトが推奨される.
▪多くの併用禁忌薬が存在するため,内服時には薬剤相互作用に十分な注意が必要である.
▪GDF-15を標的とした抗体薬の開発も進んでおり,今後の治療選択肢として注目されている.

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