特集 急性中毒の初期診療と管理―内科医が読んでおきたい診断・治療のケース集
[鼎談]
本邦における臨床中毒学教育の現状と課題
-世界との比較を含めてoverview
喜屋武 玲子
1
,
千葉 拓世
2
,
舩越 拓
3
1埼玉医科大学病院 臨床中毒科
2国際医療福祉大学成田病院 救急科
3東京ベイ・浦安市川医療センター 救急救命センター
pp.1117-1124
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_1117
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本邦における臨床中毒学教育の現状
喜屋武 本日は臨床中毒学教育の体系化が進みにくい理由を考えたいと思います.一つは,専門医資格がなく,キャリアプランとして確立していないように見えるために若手にサブスペシャリティとして勧めにくい点です.クリニカルトキシコロジスト制度はありますが,まだまだ人数は少なく,実際には中毒診療を救急医が兼務して行っていることが多いのが現状です.また,中毒患者は救急搬送困難症例となる傾向があります.精神科の不在,受け入れ側の苦手意識,複雑な背景などから,一部の病院に患者が集中し,経験の不平等を解消するための教育が必要です.

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